誰もが一度は疑問に思ったことがありませんか?
- 動物や昆虫の群れはどうして美しいんだろう?
- 動物や昆虫の群れはどうして、集団で賢く行動できるのだろう?
そんな疑問を解消したい方に、以下の書籍をお勧めします。
さらに、「その賢い群れから、私たち人間は何を学べるか」が、本書のテーマでもあります。例えば、組織のパフォーマンスを上げたい方にとってもきっと多くのヒントが見つかることでしょう。
Amazonの説明では、
虫や鳥たちに学ぶ、集団ですごい成果を生み出すシンプルな法則。進化によって磨き抜かれた賢い群れは、不確実さや複雑さ、変化といったものに驚くほど巧みに対処する。人間が送電網やサプライチェーン、金融市場といった複雑なシステムの管理に手こずる一方で、動物の群れは何千匹という個体の力を活かして生き延びてきた。そんな賢い群れの秘密を解き明かし、その秘密をビジネスや人間社会にうまく応用する方法を考える。
と書かれています。
群れのプロたち
本書では、何百年もの間、不確実で複雑な問題に集団で立ち向かってきたプロたちとして、5つの生き物を紹介しています。
- アリ ーボトムアップの「自己組織化」で難問を解く
- ミツバチ ー「みんなの意見」で賢い判断を下す
- シロアリ ー「間接的協業」で驚異の構造物を生み出す
- 鳥 ー「適応的模倣」で群れが一つの頭脳になる
- バッタ ー暴走した群れの悲劇
本書の構成は、以上5つの事例がそれぞれ章になっており、最後の章で結論を述べるという構成になっています。
賢い群れとは
これまでの研究によって、アリ、ミツバチ、シロアリなどは、多数の個体が力を合わせて問題を解決するそうです(社会性昆虫)。しかも、それぞれは単純なルールに従って動くだけで、誰も全体像を把握していない。それぞれの相互作用によって、行動が決まる。
また、鳥や魚の群れの大部分は、赤の他人の集まりです。そこで、群れが生き残るには、集団行動と個人の利益のバランスが重要になってくるそうです。人間と同じですね。
さらに、群れならすべて賢いわけではなく、集団行動には負の側面があります。これについては、内気なバッタが集団行動によって、略奪者に変化する事例を挙げて説明しています。
「群れのプロ」から学べること
本書で紹介されている賢い群れの基本ルールとは、
- 自己組織化
- 情報の多様性
- 間接的協業
- 適応的模倣
です。これらは、人間社会における社会現象にも当てはまります。
ここで重要になってくるのは、「集団行動における個人の役割とは何か」という問いです。
それは、個人が自分の感情や意見だけでなく、周囲のそれによって意思決定をするという問題なのです。
言い換えると、シグナルや行動が個人の間で次々と伝達される結果として何かが起こるというわけです。
この行動パターンは様々な場面で見ることができます。組織や家庭、コミュニティに属する人なら誰もが、意思決定をする場面において、意識的あるいは無意識的に、周囲の人々の意見や行動の影響を受けているのです。
例えば、学校に通うお子さんがいるご家庭なら、「◯◯さんちは△△だから、うちも△△」みたいな会話を夫婦や親子でしているのではないでしょうか?
このような意思決定は、不確実な状況下で手っ取り早く意思決定をするには大変便利ですが、無批判に集団に盲従するという負の側面を持っているので注意が必要です。
この集団行動のメカニズムは、ある製品やサービスがどうやって急速に普及したのかを理解するのにも役に立ちます。
また、我々人間はコミュニティに帰属したいという気持ちと、個人的な利益を最大化したいという2つの矛盾した欲望を抱えています。つまり、集団として共通の目的を達成するには、本能を超える「社会規範」が必要不可欠なのです。
自然界の群れから学ぶ2つの教訓
- 賢明な集団として協力すれば、我々も状況の不確実性、複雑性、変化の影響を抑えられるということ。
- 集団に所属しても、個性を封印する必要はないということ。自然界における優れた意思決定は、妥協だけでなく競争から、また合意だけでなく意見の不一致から生まれる。
複雑性と不確実性が高まるこれからの時代、企業という集団が集団としてのパフォーマンスを高め、生き残るためには、集団(組織)の中の個人(多様性)をいかに活用するかという視点と発想が、ますます必要になってくるのではないでしょうか?