知人が2015年に読んだ本の中で、ベスト3に入る本だというので、さっそく借りて読んでみました。
本の中では、イノベーションの言葉の定義を、
素晴らしい技術を使って我々の生活を変えるような物やサービスが提供されること
としています。
「素晴らしい技術」と「我々の生活を変えるような」が一緒になっているというのがポイントで、素晴らしい技術だけでもダメなんです。
例えば、和食のイノベーションとして、冷たい蕎麦の上に軽く焼いたフォアグラをのせる料理を考えたとして、それはイノベーションと言えるのでしょうか。
この場合、和食がグローバルな食の世界にイノベーションを興す、その1つの実験的メニューとしてならありです。ただ、トライアルをする人はたくさんいて、そのトライアル全てをイノベーションだと言ってしまうのは問題で、あくまでも「イノベーションのトライアル」だと言えばよいと書かれています。
なるほど、これは分かりやすいですね。
イノベーションが起きる3つのプロセス
イノベーションの起きるプロセスは大きく3つの段階に分けることができます。
第一段階:誰かが筋のいい技術を育てようとする(技術を育てる)
第二段階:その技術を使って、製品やサービスを市場に提供する(技術の市場への出口を作る)
第三段階:みんなの生活が変わるほどのインパクトがもたらされる(社会が動く)
この第三段階まで行って、初めてイノベーションが起きたと言えるのです。
イノベーションはたくさんの小さな行動の連鎖で起こる
イノベーションは、1つの行動でホームランが出るものではなく、懸命にその場その場で頑張っている人がいて、ときに弾ける。それを多くの人が競争してやっていると弾けることの連鎖が起きて、その結果として、イノベーションになっていく。つまり、多くの人が関わりたくなるような分野であるというのもイノベーションが起きるための条件になりそうですね。つまり市場の潜在的なニーズがどれくらいあるかということ。
本の中では、イノベーションの背後にある、ニーズの深さと技術の深さによると書かれており、深さがあるほどバトンタッチ(連鎖)が起きやすい。
抵抗勢力もイノベーションの重要な要素
イノベーションには常に抵抗勢力が存在します。だが、抵抗勢力こそが、イノベーションを本物にするといいます。
なぜか?
- 抵抗勢力やためらう人たちに納得してもらうために、技術が本物になる(磨かれる)
- 技術だけじゃなく、社会の多くの人を巻き込めるような仕組みを用意しなければならなくなる
- 倫理的な問題に対してきちんとケリをつける材料を提供しなければならない
つまり、結果的には抵抗勢力のおかげで、イノベーションに磨きがかかり、3つのプロセスの第三段階へと導いてくれることになります。
まとめ
いかがでしたか?
イノベーションについての定義は人それぞれですが、 このように考えてみると少しは整理ができたのではないでしょうか?
組織の中で本当にイノベーションを起こすためには、上層部から担当者までがどの程度のイノベーションを目指すのかを、最初にしっかりと共有してから始めることをお勧めします。
お勧めの関連書籍
大企業でイノベーションを起こすなら必読の1冊です。
こちらの書籍でも、最初にするべきことは、「上層部との方針決定ワークショップ」であると紹介されています。方針決定ワークショップにおいて誰と何を決めるかは、ぜひ本書を手にとってご覧ください。